タグ: 障子

こんにちは、肥後細川庭園です。

 

この冬一番の寒気が訪れ、夜半から雪の予報も出ていた118日、第9回庭カフェトークを開催いたしました。

雪化粧をしたお庭をご覧いただけるかも、という期待と、交通機関の乱れで参加者の皆様がお越しになれないのでは、という不安の入り混じった当日朝でしたが、予報が外れ、積雪も交通機関の混乱もなく、予定通り開催することができました。

 

今回は「建具にみる木と日本人」をテーマに、埼玉県毛呂山町に工房を構える建具職人でいらっしゃる、木建屋 杢正の新井正さんに、日本の伝統的な建具の技や知恵についてお話しいただきました。

 

残念ながら、現在の家屋ではあまり見られなくなった伝統的な建具ですが、障子や門、扉、ガラス戸、板戸など、木材や紙などの簡素な材料で作られていながら、とても高い性能を持つ建具が日本では作られてきました。

また、建具は、雨風を防いだり、明かりを室内に採り入れたり、といった機能だけではなく、自然と豊かに付き合うデザインや、その居室や住居に住む人の社会的階級を暗に示す工夫などもなされてきたそうです。

 

絵巻物にも描かれていたという建具とともに、製作する職人の技と知恵にも深い歴史があります。パソコンも計算機もない時代、“割り算”を使わずに寸法を測り、また、強度を保ちつつ、修復もできる独特の木組みを考え、受け継いできました。

さらに、美しさと機能を両立させるために、使用する木材の特質を見極める目も必要です。そして何より、建具を作る際に重要な道具である刃物がなければ、美しく削ることもできません。

 

和室の美しい空間は、日本人が持つ自然への感性、自然がもたらす豊富な素材、そして鋭利な刃物を生み出す鋼の技術を背景に、伝統を受け継ぐ建具職人の技があったからこそ生み出されたものだったのでした。

 

当日は、新井さんが準備くださったミニ障子の組み立て体験を行い、吉野杉の手触りや色味、木組みの技、障子の美しさなどを実際に味わっていただきました。

 

寒い中ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

 

この講座では毎回、お抹茶と季節のお菓子をお楽しみいただいています。

今回は、吉祥のシンボルでもあり、松聲閣の由来でもある松でした。

 

次回は、2020220日(木)18時から、「日本人と椿の文化」と題して開催いたします。 今年度の最終回となります。

どうぞお楽しみに!

 

 

 

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