8/17 7/31(土)庭cafeトーク「近代東京の庭園を楽しむ」を開催しました
こんにちは、肥後細川庭園です。
7月31日(土)、庭カフェトーク『近代東京の庭園を楽しむ』を開催いたしました。
今回は造園学の研究者で、当園の庭園管理にも携わっていただいております、東京農業大学造園科学科教授、粟野隆先生に、
明治以降、東京で造られたお庭の魅力についてお話しいただきました。
日本庭園と聞くと、池泉回遊式や枯山水など、京都を中心として発達した和風の庭園を思い浮かべますが、
明治以降、東京で造られたお庭は、江戸時代に徳川幕府が開かれ、諸大名の屋敷内に庭園が造られた歴史に端を発しています。
江戸時代には1,000を越えたといわれる膨大な大名屋敷も、明治になると政府による武家地の没収や庭園の農地化により、ほとんどの庭園がなくなりました。
一方、新しい所有者によって保有された一部の庭園だけが、江戸時代の地割や庭園空間を踏襲しながら継承され、今日都内に残っている大名庭園へと姿を変えていったのです。
画像:「細川侯爵邸」 出展:名園五十種
近代東京で生まれた庭園の特徴の一つが、高台(台地)と低地(崖下)を活用している点です。
明治以降、高台に屋敷を構えることが流行すると、高低差を活かした造園が行われるようになります。
低地から山を望む、借景を取り入れた京都の庭園に対し、東京では、高台から近隣の低地の風景や富士山などの遠景を眺望する「先下がりの庭」が造られました。
さらには、洋館住宅にもなじむ高台の芝庭や湧水の湧き出る低地の池、高低差を活用した滝など、
地勢を最大限に生かしつつ図られた和と洋の調和が近代東京の庭園の魅力なのでした。
画像:「先下がりの庭」
ここ、肥後細川庭園も州浜と雪見灯籠、池など、江戸期以来の庭園の伝統を引き継ぎつつ、現存はしていませんが、高台には(現在の目白台運動公園)には芝庭が営まれ、高低差を活用した先下がりのお庭でした。
お散歩をされる際は、ぜひ、往時の姿を思い浮かべながら楽しんでいただけましたらと思います。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。
次回は8月21日(土)13:00~、「衣服にみられる自然」をテーマに、公益財団法人永青文庫 学芸員 の輿石英里子さんにお話しいただきます。オンライン限定の開催となります。皆様のご参加をお待ちしております。申込方法は下記HPをご参照ください。
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