12/19 庭cafeトーク「技と風土の美 日本刀文化」
こんにちは、肥後細川庭園です。
12月13日、明るい日差しに紅葉も映える日曜日に、庭カフェトーク第13回を開催いたしました。
今回は「技と風土の美 日本刀文化」をテーマに、京都国立博物館の研究員で、刀剣をはじめとする金工についての工芸史・美術史などがご専門である末兼俊彦さんにお話しいただきました。
昨今、巷でも話題になっている日本刀。その魅力は、刀剣部分だけでなく、様々な装飾部分にもあります。今でも熊本県の工芸品の代表にあげられる肥後象がんもその一つです。肥後象がんは、江戸時代に刀剣の鐔(つば)などに施したのがはじまりと言われ、細川忠興(三斎)の奨励と指導によって発展してきたそうです。桜や武蔵野の自然などを表した美しい鐔は、手がけた金工の自然観と、その自然観を表現できる技量が備わっているからこそ。この時代には、鐔だけでなく、肥後拵や越中具足等、忠興の美意識を体現するような刀装具や甲冑が生み出されたのでした。
また、地域性は、技だけでなく刀剣の位置づけにも表れています。刀剣の売り方、つまり販売戦略を比べてみると、武家社会であり荒事を好む江戸と、上級町衆が多く上方文化である大坂ではまったく異なります。江戸ではその機能性が重視され、販売の際も“試し切り”の情報が付されたのに対し、大坂では物語性が重視され、例えば刃文の美しさや銘の書体をデザインした刀剣が販売されました。このように、刀の武器以外の側面から、地域の文化や気風の違いを読み解くことができ、当時のリアルな社会や文化を垣間見ることができます。
日本の刀剣の”モノ“としての美しさは当然のことですが、それを生み出した文化を知ることで、より一層その魅力が広がっていくように感じました。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。
次回は、年明けになります。2021年1月21 日(木)18:30~、「江戸文様と自然」と題して開催いたします。 江戸時代の庶民が競って装ったといわれる江戸小紋の魅力についてお話しいただきます。ご参加お待ちしております。
なお、自宅で受講いただけるオンラインでの参加もできます。詳しくは、イベント情報をご覧ください。
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