出あいの庭
こんにちは、肥後細川庭園です。
中門をくぐり抜けて、ほっとしたように立ち止まり、「こんなに綺麗な庭だったのですね。」と、 その女性はつぶやきました。
それから「きっと、母がここに連れてきてくれたんだわ」と、 菩提樹を見上げました。
3月前にお母様を見送くられてから、久しぶりの外出でした。
この庭は初めて訪れたそうです。
それからゆっくりと、池の方に向かわれました。
雨止みの朝、森(樹林地 )を歩いていると、一斉に蝉しぐれが降ってきました。
登り道の途中、ヤブランに、セミの抜け殻がしがみついていました。
近くの笹の中の杭には、 午睡のトカゲが逃げもせずじっとしています。
ほの明るい空、木々の葉が切り絵のように見えます。
ギボウシを下から覗くと、賑やかに笑っているような気がしました。
松聲閣のUさんは、土橋から中池を眺める風景が好きだそうで、 自分で撮影してくれました。
梅雨の終わりのころ、少しくらい日、池の面にもレンズにも雨つぶです。
けれど、晩秋になると、両側の紅葉が、美しく色づき、池に映り込み とても華やかな風景になるのです。
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