庭Cafeトーク vol.8「日本のあかりの美学」を開催しました。
こんにちは、肥後細川庭園です。
冬至も直前となった12月19日、庭カフェトーク第8回を開催いたしました。
今回は「日本のあかりの美学」をテーマに、元日本大学教授で、現在は照明デザイン研究所を主宰していらっしゃる山家哲雄先生に、西洋のあかりと比較をしながら、日本のあかりの文化的背景や特徴についてお話しいただきました。
あかりの原点であり、人類に共通する「光の原風景」である「炎」。その炎を使い、様々に手を加えながら生み出されてきた「光文化」は、各地域の気候風土や宗教などを背景に世界中で多様な文化を築き上げてきました。
しかし、通信網や交通網もグローバル化し、情報が簡単に手に入るようになった現在、各地域が持っていた固有の文化、また街並みやモノのデザインなども均質化する傾向が進んでいるそうです。
英語の“light”とは異なり、日本語では”光“と”あかり“を区別してきた点に独自の「光文化」の原点があるといいます。
乾燥した西洋の気候とは異なり、大気中の水分量の多い日本の湿潤気候では、太陽の光が乱反射して生み出される影は、うすぼんやりとしたゆるやかなグラデーション。
このような仄かな”あかり“を美しいと感じる感性が、優しい、淡い光を室内に創り出す日本建築や、刻々と変化する空の移ろいを多様に表現する日本語を生み出してきたのでした。
光の当たる部分だけでなく、陰翳(いんえい)を含めてとらえる美意識。何気なく感じていた松聲閣・椿の間の美しい佇まいは、光の原風景から脈々と続く日本ならではの「光文化」が生み出していたのでした
山家先生は、照明学の研究・教育のほか、国内外で、あかりの設計・デザインにも数多く携わっていらっしゃいます。当日は、特別に当園正門から玄関まで続く“光の道”をデザインいただきました。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。
この講座では毎回、お抹茶と季節のお菓子をお楽しみいただいています。
今回は、柿でした。
次回は、2020年1月18日(土)11:00から、「建具にみる木と日本人」と題して開催いたします。
どうぞお楽しみに!
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