庭Cafeトーク vol.6「地形が生み出す水の美」を開催しました。
こんにちは、肥後細川庭園です。
今春より開講し、ご好評をいただいている庭カフェトークの秋冬期が10月17日よりスタートしました。
第6回目となる今回は、「地形が生み出す水の美」と題して、日本庭園の必須要素である“水”が、どのような自然環境を背景に生み出されているのか、本園の位置する関口・目白台地域の地形から読み解いていただきました。
講師は、川崎地質株式会社の五藤幸晴さんです。
五藤さんは、日本地下水学会の学会員でもあり、以前、学会のイベントにおいて文京区湧水めぐりの企画もなさっていらっしゃいます。
最初に、普段の生活ではあまり目にすることのできない様々な地図を用いて、本地域の地形や地質の特長をご説明いただきました。地質図からは、関口・目白台地域が青梅のあたりから扇状に広がる武蔵野台地のほぼ東側の先端にあたっていること、また、デジタルの標高地形図では、神田川が流れる一帯に突き出た半島のような台地になっていることが見て取れました。
このような地形では、地層にしみ込んだ水が湧水となって出てくることが多いため、かつては文京区内にも湧水ポイントがたくさんあり、井戸として活用されていたそうです。しかし、残念なことに、現在では、街中のコンクリート化が進んで地中に浸透する雨水の量が減り、水が涸れている箇所が多くなっているとのことでした。
本園でも、現在は、深井戸から汲み上げた水を池に流していますが、造園当時は、おそらく、和敬塾との境界当たりに湧き出た豊富な湧水を池に流すとともに、中池や小池では、北側にある雑木林の斜面から湧き出る湧水も活用していたのではないかとのこと。本園も自然の高低差や湧水を大いに活用したデザインだったことを改めて実感しました。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。
次回は、11月14日(木)に京都から造園家をお招きし、「日本庭園に秘められた特質と魅力」をテーマに開催いたします。
どうぞお楽しみに!