庭Cafeトーク vol.4 「畳の知恵」を開催しました。
こんにちは、肥後細川庭園です。
7月18日、庭Cafeトーク vol.4 「畳の知恵」を開催しました。
この講座は、当園のある目白台・関口の自然と歴史・文化性を深く掘り下げたテーマによる連続講座で、多くの皆様に当園およびこの地域の魅力を知っていただくとともに、日本の文化と自然の深い結びつきを学ぶ機会になれば、と企画しています。
今回、講師としてお招きしたのは、熊本県アグリシステム総合研究所いぐさ研究室の西田伸介室長です。
西田さんは、熊本県の職員として、いぐさの研究と技術開発に長く携わられており、今回は、いぐさの歴史と文化、いぐさの栽培から畳の製造工程のほか、畳の機能などの研究結果も併せてお話しくださいました。講座後には、松聲閣の和室に移動し、裏返しをしたばかりの畳を見て、触って、香りを味わいながらお話を振り返りました。
奈良時代に使われ始めた畳は、当初とても貴重なもので、天皇や権力者などが、御台や寝殿の一部など限られた部分にのみ使っていたそうです。それが、庶民まで広がったのは江戸時代で、全国でいぐさの生産と畳の製造が行われていたのだとか。全国でも随一の名産地、八代市を中心として生産される熊本のいぐさは、球磨川の豊富な水と広い八代平野の賜物で、現在、国内産の畳表のほぼすべてを生産しています。
いぐさの畳には、湿度を調整する機能やクッション性、音を吸収する機能など、天然素材ならではの優れた性能があるそうですが、なにより畳と言えばいぐさの香り。この香りは、「泥染め」の工程があるからこそ生まれるもので、九州大学との研究では、含まれる香気成分が集中力の向上やリラックス効果、また睡眠改善をもたらしていることが明らかになってきているそうです。
今年は特にどんよりとした梅雨空が続く毎日ですが、青々としたいぐさの香りを嗅ぐと気持ちがリフレッシュされます。もともと湿地に自生していたいぐさから改良を重ねて作られた畳は、この湿度の高い日本の夏を快適に過ごすための先人たちの工夫と知恵を生かした結晶であることを実感した時間でした。
ご参加の皆さま、ありがとうございました。
この講座では毎回、お抹茶と季節のお菓子をお楽しみいただいていますが、今回は、熊本スペシャルデーとして、熊本県球磨地域の貴重なお抹茶と、復刻された細川家ゆかりの八代古名菓「薏苡仁糖(よくいにんとう)」を同研究所のご厚意でご提供いただきました。
ありがとうございました。
次回は8月8日(木)、朝活企画として7時30分より開催します。
テーマは「庭へのまなざし」で、当園の日本庭園を管理する西武造園株式会社の庭師さん2名の方にご登場いただきます。
どうぞお楽しみに!