庭Cafeトーク vol.2 「花菖蒲と武士道」を開催しました。
こんにちは、肥後細川庭園です。
5月16日、梅雨入り前の心地よい黄昏の名残の中、庭Cafeトーク vol.2 「花菖蒲と武士道」を開催しました。
この講座は、当園のある目白台・関口の自然と歴史・文化性を深く掘り下げたテーマによる連続講座です。
多くの人々に当園およびこの地域の魅力を知っていただくとともに、日本の文化と自然の深い結びつきを学ぶ機会になれば、と考えています。
今回、講師としてお話しいただいたのは、玉川大学農学部の田淵俊人教授です。
田淵先生は、トマトのご研究とともに、花菖蒲のご研究をなさっています。海外の研究者から、日本が誇る園芸植物は何か?と問われて、日本原産のノハナショウブを起源とする花菖蒲の魅力に気づかれたそうです。
講座では、万葉集に始まり、稲作文化との関わり、花菖蒲の栽培と品種育成の歴史、そして武士道との関わりをお話しいただきました。
江戸時代に、熊本藩において品種育成された系統である肥後花菖蒲は、特に大輪・豪華絢爛さが特徴と言われています。
その花の形や色は、武士道の精神を表現するものと位置づけられ、指南書まで作られたとか。例えば、3枚のめしべ(花柱枝)は「人」の心を表すように均等に開かせる、めしべとおしべを主人と家臣に見立て、家臣は主人を取り巻くように分化させて配置させる、など、栽培作法のほか、花は鉢植えで育て室内の金屏風の前に並べる、など、鑑賞方法まで細かく決められているそうです。
一見、堅苦しそうな作法ですが、実際に花菖蒲を育てられていらっしゃる先生のお話を伺っていますと、花菖蒲一輪に、毎日、目をかける、手をかける、心をかける、つまり“丹精を込めて育てる”心がけが武士道につながっている、との教えのように感じました。
ご参加の皆さま、ありがとうございました。
当園でも5月下旬から、肥後花菖蒲を中心に20種を超える花菖蒲が楽しめます。庭園スタッフが丹精込めて育てた花菖蒲、ぜひご覧くださいませ。
この講座では毎回、お抹茶と季節のお菓子をお楽しみいただいています。
今回のお菓子はなんと、花菖蒲でした。
護国寺の老舗和菓子店・甲月堂のご提供です。
次回は6月20日(木)に開催します。
テーマは「ホタルと日本人」で、講師 はフェリス女学院大学文学部日本語日本文学科の竹内正彦教授です。
どうぞお楽しみに!