月: 2016年9月

こんにちは、新江戸川公園です。

刀剣講座の2日目です。
午前中は刀剣鑑賞会の2回目で、前日と異なる部分は、人気の「之定」の行列スペースを確保したことと、各刀剣の解説を最初にまとめて行ったことです。

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刀剣鑑賞会への参加経験は昨日同様、ほとんどの方が初体験です。
興味深かったのは、前日の雰囲気が始終、名刀に対する畏敬の念でピンと張りつめていたのに対し、本日は名刀に親しみたいという緩やかな雰囲気を感じました。

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そして午後の部は、阿部先生による刀剣研磨の解説と実演です。

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今回は、昨日以上に専門的な座学から始まりました。

鉄の歴史、日本刀の構造、鉄に含まれる炭素量と用途、日本刀に欠かせない玉鋼を製造する ”たたら製鉄” の技法など……「折れず曲がらずよく切れる」日本刀を目指した先人の知恵が、次々と紹介されてゆきます。

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続いて、刀剣研磨に用いる砥石の紹介です。

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下地研ぎ用、仕上げ研ぎ用など、極めて多種多様な砥石を駆使することがわかります。

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こちらは道具類です。

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そして研磨作業の工程解説です。

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各工程について、画像で丁寧に解説していただきました。

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いよいよ、会場を和室に移して、研ぎの実演が始まりました。

こちらは下地研ぎです。

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本来であれば、極めて高い集中力が必要な作業なのですが、参加者からの質問にも、丁寧に答えていただけました。

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こちらは仕上げ研ぎの『地艶」「拭い」「刃取り」の工程です。

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軽妙なトークで参加者を湧かせる講師ですが、手元は極めて精密です。

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こちらは阿部先生による「地艶」と「磨き」の実演です。DSC_9743 DSC_9748

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刀剣研磨の作業は、下地研ぎから仕上げ研ぎまで、多様な工程を経て完成するものですが、今回は短い時間にもかかわらず、6工程もの作業を実演していただきました。

参加者のみなさんは、今回の講義と実演に大変感動されたようで、後日事務局にいただいたメールでも、「座学の内容があまりにも高度で、自分自身の勉強不足を痛感しました」との向上心あふれるご感想もありました。

これまでの刀剣講座を通じて、日本刀は、古式のたたら製鉄による玉鋼の製造に始まり、刀工、研ぎ師、白銀師、鞘師など、様々な職人の皆さんによる智慧と技術と汗の結晶による芸術だと、改めて感じました。

講師の皆様、ありがとうございました。

それではまた!

 

こんにちは、新江戸川公園です。

9月18日の刀剣講座を引き続きご報告いたします。
午後の部は「日本刀の銘や刃紋を写し取って、自分だけの押型をつくってみよう」です。

押型とは、刀剣の上に和紙を押し当てて、茎(なかご)の銘を墨で写し取ったり、刃紋などを書き写すことです。

刀剣は、強固な鉄(鋼)で作られているので保存性が高いように思えますが、水による錆はもとより火にも大変弱く、本能寺の変や大坂夏の陣、明暦の大火などで焼けてしまった名刀が数多くあります。

そのため、押型は古くから受け継がれている名刀の情報を正確に残す、大切な役割を果たしています。

それでは高性能な写真器材がある現代には、もはや押型が不要かといえばそうではないようです。
一般に刀剣の地に現れる肌目や地刃の働き、沸えや匂いなどの全てを写真の画像に写し取ることは技術的に難しいそうですが、押型であれば極めて正確に記録することができます。

特に、初心者には区別がつきにくいといわれる、刃紋と地の境目に現れる「沸え」(←夜空にきらきらと輝く星のような、肉眼で確認出来る粒子)と「匂い」(←天の川のようにぼうっと霞んで、肉眼で粒子が確認出来ない)については、根気はいりますが、それらを精密に写し取ることができるそうです。

講義は日本最古の刀剣書「正和銘尽」による、押型のルーツ解説から始まりました。

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大学の授業に紛れ込んだかのような専門的な解説ののちに、お待ちかねの押型実習です。

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本日は「刃紋取り」と「茎(なかご)取り」の2つの作業です。

まずは「刃紋取り」から。
刃紋取りに使われる和紙は、大変緻密で貴重なものだそうです。

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用意された名刀の銘と刃紋が描かれた教材を、各自お好みで選びます。

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講師の阿部先生から、一連の手順をお教えいただき……

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さっそく作業にかかります。

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この作業に没頭すると、大変心が落ち着くという方もいらっしゃいます。

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時間内では到底完成に至りませんので、あとはご自宅でのお楽しみです。

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こちらは、和室で行われている「茎(なかご)取り」です。

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和紙を茎に固定して、専用の炭を慎重に当てながら、銘を写し取ります。
丸い銀色のものは、阿部先生が100均で見つけてこられたという、磁石です。
この磁石の良いところは、厚紙のパッケージに入れたまま使えるので、和紙や刀を痛めることがないのだそうです。

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参加者が最も苦労されているのは、和紙がズレてしまうことのようで、講師からは、墨を動かす方向を一定にするなどのアドバイスをいただきました。

 

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完成です!

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午前の刀剣鑑賞では、実物を手に取って光にかざしながら刀剣の美しさを鑑賞しましたが、この押型では、地肌に現れる様々な表情をじっくりと観察しながら自分の手で描き写し、それが自分のものになるという、贅沢な鑑賞方法ともいえます。

次回は、2日目の様子をご報告いたします。

それではまた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、新江戸川公園です。

本日は、文京区で活躍する刀剣・武具の一流職人による体験講座、「日本刀鑑賞会~和泉守兼定を手に取って感じてみよう~」と、「日本刀の銘や刃紋を写し取って自分だけの押型を作ろう」を開催しました。

まずは「刀剣鑑賞会」の様子をご報告いたします。

この鑑賞会では、鎌倉時代から現代に至る10点の刀剣が用意され、中でも「之定」は今回の超目玉です。

まず集会室の洋室で、文京区の研師、阿部一紀先生による研師の系譜の講義から始まりました。

DSC_9352さらに、今回は特別に本阿彌家から26代:本阿彌雅夫氏をお招し、事前に参加者から頂いた質問への解説をお願いしました。DSC_9359質問の内容は、「かつて火災などで焼きが失われてしまった刀剣の”再刀”」に関する専門的なものから、砥石の入手方法といった素朴なものまで様々でしたが、参加者の心に最も響いたテーマは、「研師が刀剣を研ぎ始める前の段階で、いかに研磨のイメージを固めるか」というものでした。刀剣研磨は一度作業を始めれば失敗は許されない厳しい仕事で、イメージを固めるまでには何日も必要とするためです。

そしていよいよ、会場を和室に移して鑑賞会です。

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一番手前の刀が「之定」です。

今回の参加者の大半の方が刀剣鑑賞会は初めてとのことで、講師の表情も、それこそ真剣です。

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刀剣の前に正座し、まずは敬意を表して一礼。
電球の光を刀身に当てて、刃紋や地金に現れる映りなどを丁寧に鑑賞します。

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参加者の表情は、ご覧のとおりです。

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講師の阿部先生からは、博物館などでガラス越しに見る刀剣と、実際に手に取って鑑賞する刀剣の違いを、音楽鑑賞に例えて説明されました。

ガラス越しの刀剣がCD鑑賞であれば、この鑑賞会はコンサートホールの生演奏。

男性に比べて繊細な目を持つ女性ならばこそ、沸(にえ)や匂(におい)、映りなどを、音楽のリズムやハーモニーのように楽しんでいただければよい。

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とはいうものの、皆様にとっては、まずは大切な刀剣を丁寧に扱い、安全のために無駄な動きをしないことなどで、精一杯だったのではないでしょうか。

最後に、下の刀剣には刃こぼれがあるのがわかります。
講師の先生からは、この刃こぼれや打ち傷を直してしまうことはその刀剣の歴史を消してしまうことなので、その歴史とともに鑑賞していただきたいとのことです。

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次回は、「日本刀の銘や刃紋を写し取って自分だけの押型を作ろう」の様子をご報告いたします。

それではまた!

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